【お知らせ】厚生労働省に要望書等提出、スイッチOTC化評価検討会議に要望者として共同代表3名が発表しました

緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(通称:緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」では、先日10月4日に厚生労働省に緊急避妊薬のアクセス改善、OTC化に伴う課題解決を求める要望書、及び質問状を提出しました。

その後、記者会見を経て、厚生労働省で開かれた第17回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議にて当プロジェクト共同代表の3名が発表し、その後のディスカッションにも参加いたしました。

また要望書提出及び検討会の参加・発表にあたり、ご協力いただいた皆様、署名へのご協力やSNS等で「#緊急避妊薬を薬局で」をつけて発信いただいた皆様には、改めてお礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

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当プロジェクトでは、当事者となる女性の人権尊重と国際機関のガイドライン・科学的根拠に基づいて議論を進めてほしいと訴え、また評価検討会議における日本産婦人科医会の提出資料について結果の歪曲が疑われる結論が存在する可能性について、質問を行いました。受け取った吉田易範課長からは、「提出された資料は産婦人科医会としての意⾒であり、我々もオープンで公正な議論ができるように対応していく」との認識を示されました。

【第17回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議】
▼評価検討会議概要・提出資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198111_00015.html

▼要望内容・それぞれの発表要旨
緊急避妊薬のスイッチOTC化に向けての要望_緊急避妊薬を薬局でプロジェクト評価検討会議では、当プロジェクト共同代表それぞれから、要望者として発表を行いました。

染矢:
妊娠するか、しないかは、女性にとって、人生を大きく左右する。中絶をすれば、その心身の負担を背負い、出産しても、その後の学業・キャリアへの影響を及ぼす。一人で抱え込んでしまった結果、乳児遺棄や虐待にもつながることもある。緊急避妊薬は、妊娠可能性のある性行為からできる限り早く、72時間以内の服用が有効なタイムリミットのある薬。現在緊急避妊薬の入手には医師の処方箋・診療が必要で、入手にはさまざまなハードルがあり、入手が困難な人がいる。安心・安全で迅速な緊急避妊薬へのアクセスを広げることは、自分らしく生きる選択肢を増やす。多くの市民団体・市民から、緊急避妊薬のOTC化・アクセス改善を求める声をいただいていることを受け止めてほしい。

福田:
緊急避妊薬は、WHO指定の必須医薬品。90カ国で既に薬局で販売されており、国際会議では日本の状況を驚きと溜息を持って受け止められる。日本では在住していたスウェーデンのように薬局で気軽に緊急避妊薬を入手できない状況が悔しい。産婦人科医会の調査では緊急避妊薬のOTC化で懸念されることでもっとも多かったのは転売の懸念だった。若者に対してそもそも悪用、転売するから信用できないというメッセージを送ってしまうことになる。もし権利の枠組みに沿って、OTC化が実現すれば、若者を本気で守りたい、権利を実現したいというメッセージを伝える貴重な機会になる。自分を大切にしたいと思う人たちが自分を大切にできるその権利を保障するような前向きな議論にしてほしい。

遠見:
緊急避妊薬のオンライン診療が解禁されたが、対応可能な医療機関は限られている。一方で、自身がオンライン診療を行い薬局で緊急避妊薬の調剤を行った事例もあり、薬剤師の対応も円滑で、対応可能な店舗も増えつつある。薬局をヘルスケアのファーストアクセスにしていくことが重要だ。OTC 化が否決された2017年の検討会で挙げられたおもな懸念点は、WHO(世界保健機関)、FIGO(国際産婦人科連合)など、国際的な機関からのファクトシートやガイドラインでは科学的な根拠が確認できないものも多く、薬剤師研修も進んでいる。緊急避妊薬が必要となる背景は様々であり、医療従事者は表面的な理由や態度で人をジャッジすることはできない。意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性と少女には、緊急避妊へアクセスする権利がある。そして、包括的性教育の推進、性暴力防止の取り組みや被害者支援体制の強化などを両輪で推進する必要がある。FIGOは「産婦人科医の役割と倫理的義務は、性と生殖に関するヘルスケアが、科学的根拠に基づいており、権利の枠組みのなかで提供されていることを確認すること」としている。「(緊急避妊薬が)どうか誰の手にも平等に届く薬であってください」という高校生の声が、性と生殖に関する健康と権利とは何かを教えてくれている。

また、評価検討会議においては、文部科学省より現在の性教育の状況について、日本薬剤師会の見解薬剤師の資質向上の状況について、日本産婦人科医会より、産婦人科医会へのアンケート調査結果の共有等がありました。

日本産婦人科医会は提出資料において、産婦人科医の54.7%がスイッチ化に「条件付きで賛成」か「賛成」と回答していたところ、一部の賛成意見を反対として扱って「91%が反対」としていたとし、口頭で修正を行いました。

そして緊急避妊薬のOTC化の懸念理由として、薬が転売される可能性、コンドームの使用率の低下による性感染症のリスク拡大の可能性、服用後の妊娠への対応の遅れる可能性などを挙げ、OTC化は必要だが、懸念事項への対応を検討する必要性を述べました。また、日本産科婦人科学会からは、日本においては日本の医療状況に応じて制度設計が必要で、要指導医薬品として継続していく制度や、包括的性教育の義務教育段階での実施についても含め、多くの人の理解・納得のもとOTC化を進めていくべきとの意見がありました。

これに対し、検討会では性教育に対する生徒の理解度や避妊の状況についての実態調査の必要性や、スイッチOTC化にあたり、どのような取り扱いをしていくのか、懸念事項への対応など今後整理していくことが意見として出ました。また笠貫座長からは、リプロダクティブライツは重要な課題であり、国際的な視点も踏まえて今後議論を深めていく方向性が示されました。

次回の評価検討会議は2022年2月開催予定で、海外の状況調査を踏まえた論点整理が行われる予定。当プロジェクトからは、「産婦人科医会の提出資料について、4年ぶりの重要な議論であるにもかかわらず、あまりにも準備不足ではないか」「決めるのは医師ではなく女性であり、医師こそリプロダクティブライツを学び直す必要がある」「今年5月の要望申請で、来年2月に議論を持ち越し、その後も議論を続けるという流れだが、迅速な対応が必要。また今後も当事者の女性を中心においた議論として、参考人として参加させてほしい」といった意見を伝えました。

なお、厚労省のウェブサイトにも今後検討会の報告が掲載予定です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku_346305.html

私たちは、今後もセクシュアル・リプロダクティブヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の実現のため、全ての少女・女性が入手できるよう環境整備として、当事者の目線に立った緊急避妊薬のスイッチOTC実現を求めて参ります。

どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。